バルダーダッシュ
え〜、皆さんはファミコンのパズルゲームと言うと、
一体何を思い浮かべるでしょうか?
えっ、「ロードランナー」?
うんうん、わかるわかる。
それとも、「ソロモンの鍵」?
ああ、あれは名作だよね〜。今やってもすっごく面白いもんな〜。
……といったのが主な意見で、
あとは「レッキングクルー」だとか「フラッピー」だとか「倉庫番」だとか、
はたまた「エッガーランド」などが出てくるぐらいじゃないでしょうか。
けれどもっ!
見たか、聞いたか、やったのかっ!
ファミコンが誇るマイナーパズルゲーム、その名もバルダーダッシュ!!
そう。
世間での知名度はそれほど高くないですけれども、
今回俺が紹介する「バルダーダッシュ」ってのも、
それらの名作パズルに負けず劣らず素晴らしいパズルゲームと言えるのですよー!
まあそんなわけで今回は、このバルダーダッシュの素晴らしさってのを
皆さんに紹介することにしようと思います。
で、それではまず最初に、このバルダーダッシュってのが、
一体どんなシステムなのかを紹介することにしましょうか……。
……って、いうのがまあ、一般的ゲームレビューの常道だと思うんですけど、
今回はちょっと趣向を変えまして、
それより先に、このバルダーダッシュが持つ、
他のパズルゲームと一線を画する素晴らしい特徴ってのを紹介しようと思うのですよ。
……そうです。
実はこのバルダーダッシュってのは、他のパズルゲームには無い、
画期的なコンセプトのもとに作られたパズルゲームだったりするんですね。
そう、そのコンセプトとは、ズバリ………
大ざっぱ
「ダメじゃん!」
っていう、皆さんの声が聞こえてきそうなほどの問題発言ですよね、いきなり。
確かにそうですよねえ……。
普通パズルゲームの重要ポイントと言えば、
緻密に緻密にロジックを積み重ねた結果導き出される行動を組み立てていき、
ほんのわずかに用意されたパズルの解法を発見する……。
そんなところにあると思うわけですよ。
ですが、このバルダーダッシュの基本コンセプトは「大ざっぱ」だったりするのです。
このパズルゲームの常識を大きくくつがえすコンセプトの元に作られたゲームがバルダーダッシュだったりするのですよ。
誰が何と言おうが、制作者が何と言おうが、俺がそう決めました。
……って、そもそもこれの一体何が「大ざっぱ」なのかってのが、
皆さんも気になっているんじゃないかと思いますが、
これは言葉で言っても解りづらいので、具体例を出して説明することにしましょうか。
………と、その前に、
そろそろこのバルダーダッシュのシステムを簡単に説明しておきましょう。
まあ、一言でいうなら……、
パズル ディグダグ
はい、ホントに簡単ですね。
ではあらためて、具体例としてこのゲームの1面の内容を用いて、
このゲームの大ざっぱぶりを説明することにいたしましょう。
まず、ゲームを開始して最初に挑戦することになるこのステージ1。
スタートすると画面に映っているのは、まさにディグダグみたいな感じの
土の中を横から眺めたようなサイドビューのマップ。
その中には、一人たたずむ主人公。
そして所々にちりばめられてる数十個の岩・岩・岩。
さらにマップのいたるところに散らばってるダイヤモンド。
そう。
このゲームは、
「重力に従って落ちてくる岩に潰されないように土を掘り進んで行きながら、ダイヤモンドを回収して出口へと向かう」
というパズルゲームなのです。
………と、ここで皆さん。
今の説明を聞いて、こんなこと考えませんでしたか?
「ああ、なるほど。これはダイヤモンドを全部回収してから、出口へと向かうゲームなんだな」
……と、こんな風に思いませんでしたでしょうか?
……しかし、実はこのゲーム。
各ステージごとに回収すべきダイヤの数が決められているのですが、
マップ上にあるダイヤの数は、それより明らかに多いのですよ!
「そんなバカなっ!」
「それでパズルが成立するわけがないっ!」
……って、そんなふうに思う人もいるかも知れません。
つーか、俺自身そう思いました。
しかし、これこそがバルダーダッシュのキモ!
この今までのパズルゲームの常識をうちやぶる自由度の高い解法こそが、
このゲームの魅力なのですよー。
……と、ここでちょっと話の本筋からは外れますが、
実のところを言いますと、俺はパズルゲームはあまり好きではなかったりします。
まあアクション的要素が半分ぐらいあるソロモンの鍵なんかはまだいいんですが、チャンピオンシップ・ロードランナーの一面すら自力でクリア出来なかった俺からすれば、頭のデキが全てを決める倉庫番みたいなパズルゲームは、あまり好きではなかったりするんですよね。
まあこれは俺の頭のデキの悪さに問題があるのもさることながら、
ただ一つだけ用意された解法を見つけ出すという
パズルゲームのゲームスタイル自体が、
どうにも好きになれなかったって理由もあるんですよ。
でも、このバルダーダッシュには、ハマりましたよー。
まず、一つのステージに色々な解法が用意されてるという、
パズルゲームらしからぬ自由度にひかれ、
そして一度クリア出来たステージもさらに攻略法を突き詰めていくことによって、
より安全に、より速く、よりダイヤの回収量を多くする解法が発見できるシステムに惚れたものでした。
さらに途中からは、
敵を岩で潰すことによってダイヤが出るという面も出てくるようになるんですが、
その手のステージではアクション要素も高い上に、
土をどのように掘りすすめ、どのような形の通路を作るかによって、
敵のかわしやすさや、倒しやすさが格段に変わってくるので、
新たな解法探しもより楽しいものとなっているのですよ。
そう。
まさに言うなれば、
正解を見つけるのではなく、正解を創るパズルゲーム!
もう俺がこれを初めてやったときは、
パズルゲームの新しい姿を見た気がしましたね。
いや〜、すごいぞバルダーダッシュ!
………とか言いながらも、結局このコンセプトのパズルゲームは
これ一作で消滅してしまったわけで、
まさにパズルゲーム界の奇作に終わってしまったという結末だったりします。
でもねえ………。
俺としては、忘れたくないわけですよ。
パズルゲーム界にこのようなスタイルがあったことを
忘れてしまいたくないわけですよ。
たとえ、後半ステージがクソ難しくて、まるでクリア出来なかったとしても、
バルダーダッシュは、俺にとって忘れることの出来ない一作だったりするのです。
再びこのようなパズルゲームに、是非とも出会えることを願いたいものですね。